減り続ける日本の人口。そこに、社会福祉の面からどんな課題があるか考えます。
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減り続ける日本の人口、出生数
2019年の日本人の人口は1億2477万6364人で、平成21年をピークに、10年連続で減り続けています。しかも5年連続で減少数も最多で更新。なかでも深刻なのが出生数の低下です。
去年1年間に生まれた人は92万1000人で、昭和54年の調査開始以降最も少なく、2019年には86万4千人まで減少。予想よりはるかに早く90万人を割ったとして、去年ニュースになりました。
1970年代の日本の出生数は200万人。それがその半分の100万人を下回ったのが2016年。そして政府の予想を上回る速さで、はやくも90万人を割ってしまったのです。
また、出生率についても、2005年の1.26を最低値としてその後微増傾向にありましたが、2016年は1.44と前年(2015年)を0.01ポイント下回り、さらに、2017年、2018年(現時点の最新データ)の出世率もそれぞれ前年を下回りました。そのため、一時上向いた出生率はふたたび減少傾向にあると言えます。
このまま出生数が急減すると、現在の社会保障や福祉制度を大幅に見直す、いわゆるパラダイムシフト(社会の価値観の転換を伴う変化)が必要になると言われていますが、その時期はもうすでに来ているという見方が妥当でしょう。
1947年から現在までの出生数・出生率の変化(出典:内閣府HP)
国民の多くは、結婚して子供を持ちたいと願っている。でも・・
出生動向基本調査(2010 年 独身者調査)では、結婚する意思をもつ未婚者はおよそ9割、持ちたい子供の数も2 人以上というデータがあります。
多くの人が結婚して子供を持って働きたいと希望しているにもかかわらず、国民の労働環境や所得環境、子育て環境がその希望を叶える形になっていません。そのため、少子化が進んだと考えられています。今後、国民が安心して出産・子育てできる環境を作れるかが、出生数増加のカギとなります。
生涯未婚率も上昇傾向
2035年には、生涯未婚率が男性で29%、女性で約19%にまで増加すると見込まれています。これは、男性の3人に一人が、女性の5人に一人が50歳までに一度も結婚をしないことを意味します。
もちろん時代も違います。戦後の「結婚が当たり前」の時代と比べ、その社会構造やライフスタイル、人生の価値観は大きく変わりました。生涯未婚率を一概に労働環境や子育て環境と結びつけることはできませんが、それでも「結婚する意思をもつ未婚者はおよそ9割、持ちたい子供の数も2 人以上」という事実があるからには、日本の労働環境や社会福祉の面から、独身者が結婚、出産を迎えやすくする環境作りが必要でしょう。
次回は、そんな社会的背景の中でも、社会福祉に焦点を当てて解説したいと思います。