甲武信ヶ岳周辺地域が6月19日にユネスコエコパークに登録されました!

2019年6月14日

甲武信ユネスコエコパークの概要マップ(甲武信ユネスコエコパークHPリーフレットより)

2019年6月19日、甲武信ヶ岳周辺地域が生物圏保存地域エコパークに登録決定されました。

ユネスコ(UNESCO、国際連合教育科学文化機関)は教育・科学・文化を通じて国際協力を促進し,国際平和と人類の福祉の促進を目的とした国際連合の専門機世界の平和と人類の福祉の促進を目的とした国際連合の専門機関です。

皆さんよく知る世界遺産もユネスコが登録を決定しています。ユネスコは、世界各地域において義務教育の普及活動や識字率の向上にも取り組む国際機関です。

今回は、甲武信ヶ岳周辺地域がエコパークに登録される意味や、そもそもエコパークとはどんなものか解説します。

甲武信ヶ岳周辺地域、生物圏保存地域エコパーク登録へ

山梨、埼玉、東京、長野の4都県にまたがる、甲武信ケ岳(こぶしがたけ)(2475メートル)を中心とした地域が、6月19日のパリでのユネスコの国際会合で正式に『エコパーク』に登録される見通しとなりました。

登録されれば、山梨県では南アルプスに次いで2番目となります。

甲武信ヶ岳は、山梨県、長野県、埼玉県の県境にある日本百名山で、標高は2475mです。

甲武信ヶ岳の名前の由来は、昔の地名、甲州(山梨)、武州(埼玉)、信州(長野)が組み合わさった名前という説が一般的で、他にも山が拳(こぶし)の形だからという説もあります。

今回の登録はこの甲武信ヶ岳を中心に、山梨県甲州市や埼玉県秩父市にまたがる19万ヘクタールのエリアです。ユネスコは登録勧告の理由の一つに、この奥秩父のエリアが、千曲川(のちに信濃川)、荒川、笛吹川(のちに富士川)、多摩川など多くの地域の水源であること、また絶滅危惧種のチョウなど希少な生き物が多く生息することを挙げています。

また農業との関わり、すなわち山梨県を中心にブドウやモモなどの農業活動に深く関わっていることも挙げています。

甲武信ヶ岳
甲武信ヶ岳

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Mt.Kobushigatake_from_Mt.Tokusa_03.jpg

甲武信ヶ岳周辺エコパーク
奥秩父の様子
ブドウ畑



 

そもそもエコパーク、ジオパークって何?すでに登録されている地域は?

エコパーク

正確にはユネスコエコパークと呼びます。もっと正確には生物圏保存地域(BR)(Biosphere Reserves)と呼びます。日本では、より親しみを感じてもらうために『ユネスコエコパーク』と呼ぶことが2010年に決まりました。

エコパーク自体はユネスコの自然保護事業です。

世界自然遺産(いわゆる世界遺産)が厳正な保護、手つかずの自然を守ることを第一にしているのに対して、エコパークは保護・保全を行うだけでなく自然と人間社会の共生、つまりその土地で昔から営まれてきた暮らしや文化を保護するエリアも設ける点が特徴的です。

たとえば南アルプスのエコパークの以下サイトを見ると分かりやすいと思います。

南アルプスには、その高山帯にはキタダケソウやライチョウなど希少な動植物が生息します。また、その山麓では200年以上続く大鹿農村歌舞伎や豊かな水資源を利用した稲作が営まれています。前者は『核心地域』として厳格に保護・保全し、後者は『緩衝地域』『移行地域』として、教育、研修、 エコツーリズムなどを行いその暮らしや地域社会の維持、経済発展が図られています

エコパークのゾーニング

上の南アルプスの例のように、エコパークは核心地域、緩衝地域、移行地域の3つにゾーニングされています。そして、それぞれの地域がユネスコが定めた一定の要件をすべて満たしていることが登録の条件となります。

「核心地域」・・・自然環境を厳正に保護、保全する。調査、研究する。

「緩衝地域」・・・核心地域を保護、保全しつつ、教育、研修、エコツーリズムなどに利用する

「移行地域」・・・ひとの暮らしと自然の調和を維持、発展させる。

たとえば、核心地域の登録条件は以下です。

・法律やそれに基づく制度等によって、長期的な保護が担保されていること

・次のカテゴリーの1つ以上に合致していること
(ア) 生物地理学的区域を代表する生態系であること
(イ) 生物多様性の保全の観点から重要な地域であること
(ウ) より自然の状態に復旧できうる変形あるいは破壊された生態系の実例 (エ) 絶滅危惧種等希少な動植物が生息あるいは生育していること
・動植物相や植生等の調査の蓄積があり、公開に努めていること

(出典:環境省「ユネスコエコパーク (BR: Biosphere Reserves) について」)(以下)

国内ですでにエコパークに登録されているところは?

2019年6月現在、国内のエコパークの登録数は9件です。

「南アルプス」、「屋久島・口永良部島」、「綾」、「志賀高原」、「白山」、「只見」、「祖母・傾・大崩」、「みなかみ」、「大台ヶ原・大峯山・大杉谷」

ジオパーク

ジオパークは2種類あり、日本ジオパークと世界ジオパークです。世界ジオパークはエコパークと同じくユネスコにより登録されます。

世界ジオパーク

ユネスコ世界ジオパークが認定します。保全、教育、ジオツーリズムを目的としています。登録地域は以下です。

洞爺湖、有珠山、アポイ岳、糸魚川、隠岐、山陰海岸、室戸、島原半島、阿蘇、伊豆半島

日本ジオパーク

日本ジオパーク委員会が認定します。登録地域は以下です。

白滝、三笠、とかち鹿追、下北、八峰白神、男鹿半島・大潟、三陸、鳥海山・飛島、ゆざわ、栗駒山麓、佐渡、磐梯山、苗場山麓、立山黒部、浅間山北麓、白山手取川、下仁田、恐竜渓谷ふくい勝山、筑波山地域、秩父、南アルプス、銚子、箱根、伊豆大島、Mine秋吉台、おおいた姫島、南紀熊野、四国西予、おおいた豊後大野、天草、霧島、桜島・錦江湾、三島村・鬼界カルデラ、島根半島・宍道湖中海、萩

(出典:日本ジオパークネットワーク公式ページ)

甲府盆地の地理的特殊性とユネスコジオパークへの登録可能性、登録された場合の地域活性化の可能性について

ひろせ議員は以前より、甲府盆地の地理的特殊性とユネスコジオパークへの登録可能性、登録された場合の地域活性化の可能性について議会でも提案しています。

今後、別の記事でご紹介していきます。

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