地球沸騰化。ゼロカーボンシティーについて議会に質問

2024年2月5日

甲府市の日照時間は県庁所在地の中で全国トップクラス。さらに市内には次世代エネルギーとして期待される水素エネルギーの利活用に向けた研究や実証実験が進められています。

このような地理的特性と技術的背景を持つ甲府市は、未来の脱炭素社会の実現に向けて全国に先行するポテンシャルを有する都市といえます。

そんな次世代にあるべき社会について、去年注目されたニューワード「地球沸騰化」を絡めて解説します。

地球沸騰化⁉

注目された『地球沸騰化』

今年(2023年)の夏は、日最高気温が35℃を上回る『猛暑日』日数が全国各地で最多日数を記録し、群馬県桐生市では国内歴代最多記録を更新しました。

世界でもその傾向は顕著で、世界気象機関等は科学的根拠を下に2023年7月、「July will be warmest month on record, scientists calculate(7月は人類史上最も暑い月となる)」と発表し、これを受けて国連事務総長は以下のように述べました。

the era of global warming has ended and “the era of global boiling has arrived”

地球温暖化の時代は終わりを告げ、地球沸騰化の時代がやってきた

すでに未曾有の猛暑に直面している世界各国の人にとって、地球沸騰化という過激なワードは抵抗なく受け入れられました。

甲府市の「ゼロカーボンシティ」宣言

甲府市は2050年の温室効果ガス(二酸化炭素)、(実質)「排出ゼロ」を目指すゼロカーボンシティーです。

令和3年、「ストップ温暖化やまなし会議」において山梨県と県内全市町村とともに「ゼロカーボンシティを目指すことを表明しました。

ゼロカーボンシティ(脱炭素都市)宣言とは?

2050年までに温室効果ガス(CO2)排出を『実質ゼロ』を宣言する自治体のことです。実質ゼロとは 人為的な温室効果ガスの排出と森林等の吸収源による除去量を同じにすることです。

2050年という数字は、IPPC(国連の気候変動に関する政府間パネル)により提示されたものです。科学論文などのデータに基づき、地球温暖化の現況を評価し政策を立てるIPCCによれば、世界のCO2排出量を2050年までに実質ゼロにする必要があり、この目標を達成するためには私たちの社会は変わらなければいけない、と警鐘を鳴らします。

2023年12月28日時点で全国1013自治体(46都道府県、570市、22特別区、327町、48村)が「2050年までに二酸化炭素排出実質ゼロ」を表明しています。

これまでに表明した地方公共団体(2023.12.28時点)
宣言自治体数の推移

出典:環境省ホームページ (https://www.env.go.jp/content/000187031.pdf)(2024年1月14日に利用)

ゼロカーボンシティ(脱炭素都市)における『実質ゼロ』とは?

現在、人の生活や事業のほとんどすべての活動が主に化石燃料を燃やすことによって営まれています。化石燃料を燃やすと温室効果ガスが排出されます。これは地球環境の本来の物質サイクルの中で森林が吸収しうる分とは別に加算的に排出されるものです。

ゼロカーボンシティとは、CO2などの温室効果ガスの排出を収支面でゼロにする都市のこと。石油や石炭、天然ガスなど非再生可能エネルギーを使う限りは実現できず、風力や太陽発電、将来実現する可能性のある核融合型原子力発電などの再生可能エネルギーにその必要エネルギーのすべてを切り替える必要があり、従って、ゼロカーボンシティは再生可能エネルギー都市といえます。

2050年まであと26年。やるべきことは?甲府を例に。

2050年まであと26年。カーボンシティ実現のためには、脱炭素ロードマップや温暖化対策計画に沿った都市計画、産業構造の変化が必要です。また、人間心理に訴えるナッジ(行動デザイン)や脱炭素ドミノなどのアイディアも必要でしょう。

今回廣瀬は甲府市議会12月定例会にて「こうふ未来」代表質問にて、そのようなアイディアを交えつつ、温暖化対策・カーボンゼロ戦略にまつわる甲府市の取り組みについて具体的に質問し答弁を得たので、これについてご紹介します。

甲府市議会12月定例会にて「一間一答」形式で質問。温暖化対策・カーボンゼロ戦略にまつわる甲府市の取り組みについて

ゼロカーボンシティの実現に向け、甲府市は「甲府市地球温暖化対策実行計画」を本年和5年3月に策定しています。

それまでの経緯は、

甲府市環境基本条例(H12年度)→甲府市環境基本計画(H14 年度)→甲府市環境保全条例(H22年度)→甲府市地球温暖化対策実行計画(区域施策編 H23年度)→第二次甲府市環境基本計画(H24 年度)→甲府市地球温暖化対策実行計画(事務事業編 H27年度)→「第三次甲府市環境基本計画」(本年3月)

でした。この条例体系を基に宣言や戦略、計画等の策定、実践されてきました。

質問1:本市の再生可能エネルギーのポテンシャルについて

「甲府市地球温暖化対策実行計画」における中期目標である、2030年度までに 2013年度比で46%の温室効果ガス削減を達成するため、5つの重点施策にまとめて取り組みを部局横断で展開することにより推進していくこことしています。因みに5つの重点施策とは、(1)水素エネルギーの普及促進(2)ライフスタイルと企業活動の脱炭素化(3)地域特性に応じたエネルギーの地産地消(4)産官学連携による脱炭素化の推進(5)豊かな自然の保全と緑化促進が挙げられています。

この戦略の背景として、活用が期待されているのが甲府市の持つ豊富なエネポテンシャルとなります。具体的にどの程度のポテンシャルを持った地域エネルギーがあるのか?

答弁

本市では、2050年までに、地球温暖化の原因となる二酸化炭素などの温室効果ガスの排出を実質ゼロとするため、石油や石炭などといった化石燃料から、太陽光やバイオマスをはじめとした、再生可能エネルギーへの転換や、それを活用し、生成した水素など地域の特性に合わせた取組を進めていく必要があります。

こうした中、本市の日照時間は、県庁所在地の中では全国トップクラスであることに加え、市内では、大学や研究機関によって次世代エネルギーとして期待される水素エネルギーの利活用に向けた研究や実証実験等が進められており、本市の重要なポテンシャルとなっております。

とりわけ、水素エネルギーにつきましては、ゼロカーボン推進の戦略的な拠点として開設した「こうふグリーンラボ」において、市民の皆様が、水素エネルギ一の安全性や特性について理解を深めていただくため、パネル展示やセミナーの開催などによる普及啓発事業と、多様な利活用の具体化をメインテーマに、市民に身近な調理器や自転車など水素エネルギーの実証研究事業を産学官コンソーシアムの協力のもと先導的に展開しているところであります。

また、恵まれた日照時間を活用できる太陽光発電につきましては、個人住宅への設置に加え、余剰電力を余すことなく活用するための住宅用蓄電池の設置に係る費用の一部助成や、公共施設への設置のためのポテンシャル調査を進め、再生可能エネルギーの普及に取り組んでおります。

今後におきましても、本市のポテンシャルを最大限生かした再生可能エネルギーの導入促進と効率的なエネルギーの地産地消の推進などにより、ゼロカーボンシティの実現を目指してまいります。

質問2:温室効果ガスの削減量について

甲府市地球温暖化対策実行計画区域施策編は平成 24年3月、事務事業編は平成28年3月に策定されていますが、本計画は平成5年3月に見直し改定され第1編区域施策編、第2編事務事業編にまとめられています。

この実行計画の第5章 温室ガス排出量の削減目標について、中期目標と長期目標が記載されています。
質問いたします。

甲府市の温室効果ガス排出量(CO2)は、基準年度 2013(平成25)年度で推計値は何キロトン(Ans.1,269千+-CO2/年)あり、中期目標2023(令和12)年度(Ans.679チャーCO2/年)と長期目標2050(令和32)年度(Ans.0千ャCO2/年)は、重量でどれくらいの排出量を削減できると算出しているのか、試算をお訊ねします。

また、中期目標 2030年度において温室効果ガス排出削減量は、約46%減としていますが、この数値の算出はどのようにされているのですか?

(自然減296千tCO2/年+実行可能な取り組みによる削減295千t-CO2/年=591千+CO2/年となり、46%となる)

自然減とは、人口減少のみとすると、2030年までにabt.▶20,000人減で14.8ton/人となりますが、国立研究開発法人 国立環境研究所によると家庭や社会的な活動で日本人一人で9~10ton 程度を排出しているそうです。14.8-10=5tonはどこで削減されているのか?

答弁

本市の「甲府市、地球温暖化対策実行計画」における温室効果ガスの排出量の削減目標につきましては、2013年度の排出量126万9千トンを基準に、2030年度の中期目標における削減量を基準年度比46%減の67万9千ト
ン2050年には、実質排出量をゼロとしております。

質問3:脱炭素先行地域を想定した経済規模について

「地域脱炭素ロードマップ」は、~地方からはじまる、次の時代への移行戦略~と副題をつけて、内閣官房で開催された「国・地方脱炭素実現会議」により、令和3年6月9日に発表されました。

今ある技術で、再エネなどの地域資源を最大限に活用し、地域課題の解決に貢献できるをキーメッセージとしています。地域脱炭素ロードマップで環境省は、自治体や地域企業が地域脱炭素を実現するために行う経済活動の規模を人口1,000 人の脱炭素先行地域を想定して、民生部門の電力消費CO2ゼロを実現した場合を試算しています。

甲府市が脱炭素先行地域を指定すると想定して、民生部門の電力消費 CO2ゼロを実現した場合、どの程度の経済規模が可能となるのか、試算をお聞かせください。

答弁

自治体や地域企業が地域脱炭素を実現するために行う経済活動の規模については環境省の試算によると、人口1,000人の脱炭素先行地域づくりを想定して、民生部門の電力消費 CO2ゼロを実現した場合、設備投資に伴い約40億~100億円程度、脱炭素実現後に年額約3億~5億円程度と試算されております。

なお、この環境省の試算は、全国を対象とした試算となっております。

質問4:脱炭素先行地域への提案について

「地域脱炭素ロードマップ」は 2025年までを集中期間とし、少なくとも100箇所の脱炭素先行モデル地域を選定し地域特性等に応じた先行的な道筋をつけ、「脱炭素ドミノ」を起こして、2030年度までに強靭な活力ある地域社会を全国で実現させようとする流れを創ろうとしています。8つの重点施策として、自家消費型の太陽光発電、地域共生・地域裨益型再エネの立地、ゼロカーボン・ドライブ、コンパクト・プラス・ネットワーク等による脱炭素型まちづくりなどを提案しています。

環境省では、2022年1月から脱炭素先行地域を募集していて、第4回目選定結果が本年11月に発表されました。因みに甲斐市では「木質バイオマス発電事業」において第3回目に提案・選定されています。現在4回目までで全国36道府県95市町村の74提案が選定されています。

第5回目の選定が 2024年に検討されていますが、甲府市においては最後の機会となるかもしれない来年に提案していこうという意欲はあるのでしょうか?

答弁

脱炭素先行地域とは、2050年カーボンニュートラルに向けて、家庭や事業所など民生部門の電力消費に伴う二酸化炭素の排出の実質ゼロを実現し、運輸部門、熱利用等も含め、国の目標と軽合する温室効果ガスの削減を実現する地域のことであります。

選定要件につきましては、主たる提案者が地方公共団体であることに加え、より実現性を高めるため、民間事業者等の共同提案により計画書を作成し、地域内の民生部門の電力需要量が、地域内に供給される再生可能エネルギー等の電力供給量及び省エネによる削減量の合計が同等となることや、市民をはじめとする地域内の民生部門需要家全てを対象とすること、計画の具体性や関係者との合意形成などが必須条件となっておりますことから、地域住民の協力と多くの事業者等との連携が不可となってまいります。

こうした状況を踏まえ、現在、環境省と定期的に意見交換を行い、既に選定された自治体の事例や取組状況など、助言をいただく中で調査・研究を進めているところであります。

質問5:助成金制度によるCO2削減効果について

10 月後半環境水道委員会で「八王子市の地球温暖化対策の取組」について視察してきました。ゼロカーボンに向けた市民・事業者への取組状況を説明していただき、省エネ対策、再エネ対策、適応策の3種類の補助制度について補助金額とCO2削減効果をご提示いただきました。資料から読み取った試算では、

  • 省エネ対策事業では、市民向け省エネ家電 503件で10,000千円の補助金で▲42,756kg,杉の木約3,000本の吸収量との試算で、4.2kg/千円、事業者向けでは9.2kg/千円の削減効果
  • 再エネ対策では、太陽光発電、木質ペレットなど、設置費用補助は、市民事業者共に 29kg/千円の削減効果
  • 適応策として、暑さ対策を掲げ、1.3kg/千円の削減効果

となっていました。

質問いたします。甲府市の「クリーンエネルギー機器普及助成金制度」ではCO2削減にどのくらい効果があるのか、数字で試算していただきたい。

参考情報

八王子市試算中再エネ対策 29kg/千円(甲府市 22kg/千円)で、甲府市の2030年までの自然減を差し引いた実行可能な取り組みによる削減目標295千tCO2/年を算出すると、国の脱炭素ロードマップの試算の設備投資に伴う経済規模100億円(10,172,413,793円)以上必要となる?経済規模の設備投資40~100億と同額以上を呼び込む必要がある?

答弁

本市では、温室効果ガスの削減を推進するため、環境への負荷の少ない太陽光発電システムなどのクリーンエネルギー機器を設置した市民の方々に対し助成金を交付しております。

本市の和4年度の助成金交付実績をもとに、王子市と同様に計算いたしますと再エネ対策として年間約35 5tの削減となり、また、補助金1,000円あたり約35.4kgとなっております。

質問6:ゼロカーボンシティの実現に向けたナッジ「行動デザイン」について

甲府市環境基本計画や甲府市地球温暖化対策実行計画においても、『SDGs』の基本理念や考え方を積極的に取り入れるとともに、環境施策や温暖化対策を推進することで、持続可能な社会の実現に向けて寄与していくことが求められており、CO2削減の各分野における適応策の方向性として示されています。その『SDGs』への取り組みは、持続可能な開発目標への取組とされ、甲府市でも「甲府市地方創生人口減少対策及びSDGs 推進戦略本部」を設置して全庁的な体制で推進されています。これらの取組をより推進するためには、人々に命令、強制や禁止によって相手を行動させるのではなく、自らが選択できるような取り組みの推進が必要と考えます。

「ナッジnudge」という行動経済学の理論があります。ナッジの意味は、「ひじでちょんとつつく」とか「そっと後押しをする」という意味です。具体的な取り組みは、「スーパーなどのレジ前の床に設置された足跡マーク」や「駐輪禁止の表示の代わりに、「不要自転車置き場」の表示にする」とか、「男子用トイレの便器にハエや的のターゲットマークを設置した」例など、効果を上げている取り組みがあります。

質問いたします。ゼロカーボンシティの実現に向けて、甲府市では、「ナッジ」のような取り組みに対して、どのような実践が可能なのか、お聞きかせください。

答弁

ゼロカーボンシティの実現に向けましては、市民一人一人が温室効果ガスの排出量の削減に積極的に取り組むとともに、企業活動においても脱炭素化を図っていく必要があります。

こうした中、本市では、市民生活や企業活動における環境に配慮したライフスタイルの転換を図り、脱炭素化に取り組むため、環境問題の啓発や、身近でできる取組をまとめた小冊子「甲府市 地球温暖化対策 ガイドブック」により、マイバック、マイボトルの携帯や、公共交通機関の利用、エコドライブの推奨、照明器具のLED化や省エネ家電の購入などすぐに実践できる日々の暮らしをちょっと変えるきっかけを紹介し、脱炭素化への行動変容を促しております。

質問7:「県央ネットやまなし」におけるゼロカーボン推進の取組について

「ゼロカーボンシティ宜言」は、2021(和3年2月15日に、山梨県と県内全 27市町村とともに表明されました。「やまなし県央連携中枢都市圏ビジョンにおいて、3.圏域全体の生活関連機能サービスの向上として、事業名:CO2排出削減によるゼロカーボン推進が謳われています。

質問いたします。事業の主な取り組みとして、①環境教育の実施及び②次世代を担うエネルギーの活用が謳われています。今後の具体的な連携の取り組み内容をお聞かせください。

答弁

地球温暖化に起因する気候変動問題は、世界で取り組むべき喫緊の課題であり、生活圏を共にする近隣の自治体が、行政区域の垣根を越えて、ゼロカーボン、脱炭素社会の実現に向けて取り組んでいかなければならないと認識しております。

「やまなし県央 連携中枢都市圏ビジョン」におきましては圏域全体で二酸化炭素の削減によるゼロカーボンの推進に向け、ごれまで各自治体が、取り組んできた地球温暖化対策について、2050年までの温室効果ガス排出の実質ゼという同じビジョンに向かい、各自治体の特性を活かしながら、一丸となって取組を推進していくこととしております。

こうした中、「県央ネットやまなし」連携事業といたしまして、7月には、甲府駅南口広場におきまして、「プラスチック・スマート・キャンペーン&マルシエ」を開催し、プラスチック製品による海洋汚染や廃棄問題等の啓発、9月には、「まなびの SDGs in 2050(にーぜろごーぜろ)Zero(ゼロ)Carbon(カーボン)Cities(シティーズ)イオンモール甲府和」において、水素燃料電池自動車「ミライ」の展示をはじめ太陽光発電等の再生可能エネルギーの紹介などに加え、サントリーグループによる「水育(みずいく)」ど「ペットボトルの水平リサイクルセミナー」、山梨大学による「水素セミナー」を開催し、次世代エネルギーの普及啓発やゼロカーボンの意識を醸成するための環境教育を実施しております。

ゼロカーボンを実現するためには、地域住民の皆様方、一人一人の環境に配慮した行動の積み重ねが、最も重要であると考えておりますことから、今後におきまして3県央ネットやまなし」構成市町との連携を密にし、地球温暖化対策に係る普及啓発など様々な取組を続けてまいります。

以上、「地球沸騰化。ゼロカーボンシティーについて議会に質問」でした。

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