これはなにかな?
廣瀬がかねてより抱いてきた「マイクロズー」構想についてお話します。
動物や魚を展示する動物園、水族館は各地にありますが、目に見えない微生物やプランクトン、あるいはミクロの世界(微小世界)を展示する施設は多くありません。しかし、ミクロの生き物の姿や生態は不思議がいっぱい。来場者がその場で手軽に楽しめて、ミクロの世界を身近に感じられる場があれば、幅広い世代にとって教育効果の高い施設になるでしょう。
そんなマイクロズーを甲府に創りたいと考えてきました。
この記事の目次
甲府にマイクロズーの施設を創りたい
廣瀬がマイクロズーの着想を得たのはパリ植物園内に建設され1984年に開館したMicrozooでした。
現在の展示状況は不明なものの、開館当時は微少動物をメインで展示し、館内にはインセクトキャッチャーなどが設置されていて、来場者は落ち葉の中の微小動物を自分で観察することができました。年間来場者数が1.1万人ということ教育効果、観光振興の効果がありそう。
そんな中、日本にもミクロの世界を見せるとても興味深い施設ができました。2004年開館の岩国市立ミクロ生物館(入場無料)です。
微小生物のダイナミックな振る舞いや、微小生物と自然環境や人との関わりに関する展示をする世界初の博物館ということで、生物好きな子どもから大人まで開館当初から人気だそうです。年間来場者数はオープン2ヶ月間で1.5万人だったとのこと。
素晴らしい施設だと思います。このようなミクロの世界に触れられる施設が増えればいいですね。
生き物の多様性を知ることは、多様性の意味を知ることでもあります。子どもの好奇心を刺激するだけでなく、その子が将来社会生活を送っていく上での糧、「ものの見方」や「価値観」の土台を培ってくれるでしょう。
夜空を見上げれば世界の広さを感じることができますが、マイクロズーに来てもまた世界の広さを知ることができる。10-x(マイナス何乗)の小さな世界から10x(何乗)の大きな世界までがつながっている。そんな感覚を伝えられる教育施設「マイクロズー」がそれぞれの地域にあってもいいのではないか。そう廣瀬は考えています。
マイクロズーを甲府市に提案
そんな廣瀬の構想を山梨の検査会社、株式会社AKI研究所に持ちかけ、何度か打ち合わせを重ねて一緒に作ったのが以下の検討資料です。「甲府にマイクロズーの施設を!」
マイクロズー施設の実現には至っていませんが、幼保連携型認定こども園和泉愛児園や山梨県立図書館、山梨県立科学館で顕微鏡観察絵イベント「マイクロズー」を実施してきました。その一部をご紹介します。
山梨県立科学館にて『マイクロズー』を定期的に実施
山梨県立科学館にて現在定期的にマイクロズーを実施しています。参加は無料です。
あるときは「科学館のまわりのコケからクマムシを探そう」がテーマ。まずは参加者にクマムシの見つけ方をレクチャー
最近はマイクロズーに電子顕微鏡(SEM型)も置かれるようになりました。この最強アイテムでありふれた虫を観察すると、息を呑むような自然の造形美を目撃することがあります。たとえば、下の写真はゴミムシの脚の先を観察したものです。
下はオオイヌノフグリの葉の裏を観察したもの。折り紙のような構造物が見えますが、この役目はいったいなんでしょう?
電子顕微鏡を触れる機会はめったにないので、生物好きな子どものみならず大人も、山梨県立科学館のマイクロズーはおすすめですよ!
毎回イベントを楽しみに参加してくれる親子もいます。それだけ、ミクロの世界を見れる機会がふだん限られているということかと思います。微生物やミクロの世界が学びのよい材料であることを実感しています。
動物や昆虫は自然豊かな地方ほど珍しい種がいますが、プランクトンや微生物は都会でも田舎でも、数え切れないほど多くの種がすぐ足下の池や川の淀みにいます。
ですが、虫や動物と違って、それを見つける・観察することは容易ではありません。どうしても補助スタッフが必要。
マイクロズーはそのような段取りが予め整っていて、来場者が手軽にミクロの世界を体験できる場、ということになります。
今後もマイクロズーやその関連イベントの実施を続け、行政にも積極的に提案していきたいと思います。
(冒頭の質問の答え:クマムシです♪)