先進国で人口減少は日本だけ!?日本の人口と子育て支援が果たす役目


ヤフーニュースで「先進国で人口減少は日本だけに」というニュースがありました。

日本だけが先進国で唯一の人口減少国

https://news.yahoo.co.jp/byline/dandoyasuharu/20150910-00049357/

ここでは、日本の今後の人口推移と子育て支援が果たす役目を考えてみます。

合計特殊出生率

合計特殊出生率とは、1人の女性が15歳から49歳までに産む子供の数の平均です。合計特殊出生率は、違う時代や国家間での人口の自然増減を比較できる指標です。

日本の合計特殊出生率は

日本の合計特殊出生率は平成30年は1.42です。

日本の合計特殊出生率
(グーグル検索結果で表示されるanswer画面より)

食糧事情や医療、衛生環境が良好な主に先進国においては、2.07〜2.08が自然増と自然減の境目と言われています。

つまり、日本の人口は、自然減少の傾向にあります。

先進国の中で人口減少が予測されているのは日本だけ

先進国の中ではドイツと日本が人口減少が予測された国でしたが、ドイツは移民受け入れ、定着などにより人口増加へ転じる見込みです。一方の日本は、先進国の中で唯一人口が減少しつづける国として予想されている国です。

出典:「先進国で人口減少は日本だけに、独は難民受容」https://news.yahoo.co.jp/byline/dandoyasuharu/20150910-00049357/

地域的には、たとえば山梨は1.64、沖縄は1.9、東京は1.4など幅がありますが、それでも人口増加に転じる2.07〜2.08には及びません。

日本の人口が減少する原因は?

出生率の低下、非婚化・晩婚化・晩産化などが考えられています。

1970年代後半から20歳代女性の未婚率が上がり、その後、女性の未婚率も上昇しました。晩婚・未婚化の傾向は社会変化の結果として捉えることができます。

そこには、女性の社会進出と社会基盤が大きく影響しています。

1980年代から女性の社会進出が進み、現在もますます女性が働く場は増える一方で、次の世代を担う子供を産み育てる環境(子育て支援体制)が十分に整っていないことがあります。

女性が出産、子育てのため離職することで雇用機会を失ったり、所得が減ることが、女性が出産・子育てに踏み出せない理由となって、出生率の低さに影響しているという指摘があります。

それ以外にも、結婚そのものや家族形態の考え方、価値観が変わってきたことも、未婚化・晩婚化の一因と言われています。

参考:内閣府「人口をめぐる現状と課題」(https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/future/sentaku/s3_1_2.html)

少子化対策の種類

そのような日本では今、法律を制定し、さまざま少子化対策を進めています。

エンゼルプラン、新エンゼルプラン

女性の仕事と子育ての両立についての困難さをさまざまな面から指摘し、保育サービスの充実を図りました。

少子化社会対策基本法

初めて制定された少子化対策関連の法律。「少子化社会対策大綱の具体的実施計画(子ども・子育て応援プラン)」が策定され、少子化を止めるために「重点課題」と「具体的行動」が提示・実施されました。しかし、出生率はその後も低下しつづけました。

次世代育成支援対策推進法

次世代育成支援対策推進法は自治体や企業の行動計画の策定を義務づけた法律です。男性や事業主の育児休業取得も新たに促進する動きがこの法律によって始まりました。

子ども・若者育成支援推進法

引きこもりやニートが社会的問題になっていますが、若者の社会的自立を促進することが少子化対策のひとつになるという認識から、「子ども・若者育成支援推進法」が制定されました。

この法律では、 働くことに悩みを抱える若者が就労に向かえるように、若者への支援を行います。地域若者サポートステーションなど、地域にあるネットワークを活かして、ニートやひきこもりの社会的自立を促す点が特徴です。

子ども・子育て支援法

この法律により、子ども手当等の経済的支援を含めた子育て支援策が取り入れられました。

幼児教育・保育の無償化

詳しくはこちらをご覧下さい。

子育て支援と少子化対策

このように見てくると、少子化対策の各種法律は、女性が子育てと仕事をどう両立していくか、子育てを社会的に支援する仕組み作りを促すものでした。

いままで法整備の下、さまざまな子育て支援の仕組み作りが進められてきたわけですが、それでも日本では出生率の顕著な向上はいまだ見られません。

そのため、子育て支援が少子化対策(人口減少の食い止め)に効果がないという意見もあります。しかし、一方で、子育て支援を進めていなかったら、もっと急速に日本の人口は減少していただろう、という見方もあります。

「世界各国の出生率」(内閣府) (https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/data/sekai-shusshou.html)(2019年10月に利用)

人口減少を止めるには、合計特殊出生率の向上が必須ですが、人口増加に転じる2.07〜2.08を超えるには、長い期間が必要だと言われています。

スウェーデンやフランスでは、低下した出生率が回復しており、その国の内状に合わせた政策を行えば、出生率の向上は可能出あることが分かっています。

フランスの事例

合計特殊出生率の低下の背景には、子供の養育コストの増大があります。そのため、家族手当など経済的支援が主流でした。しかし、フランスでは1990年代以降、保育・子育て支援への充実へ方針をシフトし、女性が仕事、出産、子育てに関わる時期に、幅広い選択ができるような環境を整備しました。その甲斐あって、2000年以降、顕著に出生率の増加に転じました。

スウェーデンの事例

スウェーデンもフランスと同じく、家族手当だけでなく、保育の充実、育児しやすい環境を整備してきたため、出生率が増加傾向となりました。

少子化対策に子育て支援ができること

他国とは状況が異なるため一概には言えませんが、日本でもさらに子育て支援、育児しやすい環境を整えていくことは必要でしょう。

今年10月に始まった「幼児教育・保育の無償化」により、幼稚園、保育所、こども園などを利用する3歳から5歳の子供などの利用料が無料になりました。これも、日本の少子化対策の大きな方策になるかもしれません。

たとえ、出生率が増加したとしても、日本の人口減少はしばらく続くと言われています。人口が減少していく社会の中で、どのような社会を作っていくか。人々がどう共生していくか。そこには、社会福祉の話を抜きにはできません。

最近、小さい保育園や介護施設などの社会福祉施設が、同じプラットフォーム、同じ場所で連携的に運営される新しい形が生まれ始めています(たとえば、佛子園さん→https://youtu.be/VycNz77oIms)。

少子化は地方の問題です。全国の地域で、どのような共生社会を作っていくかが、少子化対策を進める上でのキーになります。

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