最近よく聞くSDGs。甲府市も令和4年3月、SDGs推進ビジョンを発表したところです。
廣瀬が理事長を務める和泉愛児園(山梨県甲府市湯村)では、SDGsにウェディングケーキモデルを採用しています。個々の目標を平面で捉えるのではなく、相互の関係を立体的に把握しながら取り組みを進められるからです。
今回の甲府市のSDGs推進ビジョン作成に際しても、廣瀬はウェディングケーキモデル取入れを提案しました。
ここでは、SDGsを説明し、甲府のSDGsビジョンについて説明します。
この記事の目次
SDGsとは?
SDGsとは『持続可能な開発目標(Sustainable DevelopmentGoals』の略。2015年に国連サミットで宣言され、2030年まで世界で取り組んでいく目標になります。
わかりやすく言うと、『人類がこの地球でいつまでも豊かで平和な社会で暮らすためにこの目標を掲げて達成しよう』ということ。具体的には、以下の17の目標を掲げて、みんなで世界をよくしていきます。
17つ、すべてに取り組まなければいけないということではありません。
企業や団体はどの目標に取り組めそうか考えて、いくつかを選びます。環境問題やジェンダー、少子高齢化など企業はすでに課題に直面していますから、SDGsの取り組みがそのまま企業の課題の解決につながるわけです。
SDGsはだれが取り組むの?
SDGsにだれが取り組むかというと、世界の国や自治体、企業、団体、そして個人です。
SDGs宣言は「わたしたちの世界を変える行動の呼びかけ」で締めくくられています。SDGsに興味を持ったあなたは、個人や家族でSDGsに取り組むことができます。
SDGsのポイントは『誰ひとり取り残さない』こと
SDGsのポイントは『誰ひとり取り残さない』ということ。SDGsの前身『MDGs(ミレニアム開発目標。2001〜2015年)』の反省を活かした原則です。
MDGsでは、開発途上地域での栄養不良の人の割合を半減させるなど貧困問題にまつわる大きな成果を挙げましたが、一方で先進国を含めた地域で、差別や児童労働、難民、テロ、環境問題などが顕在化しました。
そんな経緯から、世界中『誰ひとり取り残さない』原則がSDGsに取り入れられました。
SDGsの経緯やMDGsについては、以下のユニセフ学校通信がとても分かりやすいです(クリックするとPDFが開き、そのままコピーできます)。
甲府市のSDGs推進ビジョン
甲府市は2022年3月、SDGs推進ビジョンを発表しました。その資料が下のリンクです(PDFが開きます)。
甲府市は「SDGsシティ 甲府」を目指して、誰一人取り残さない持続的な都市を目指します。
甲府市には、
- 武田信玄公をはじめ先人たちが積み重ねてきた歴史や文化。開府500年
- 全国に誇れる伝統産業・地場産品(甲州印伝、ぶどう、もも、ワインなど)
- 昇仙峡、甲武信ユネスコエコパーク、御坂山地、南アルプスなどの豊かな自然環境、観光名所
などの伝統や文化、資源があります。
それらを礎(いしずえ)に甲府という街が築かれてきました。ちょうど、武田信虎公がつつじが崎に館を構えた開府(1519)から500年を迎えました。
一方、全国の例に漏れず甲府市でも急速に人口減少や少子高齢化、地域経済の縮小が進んでいます。
そんな時代背景にあって、甲府市はSDGs推進の旗印として、市民や企業、団体へのSDGsの普及、取り組みの啓発、情報発信に努めていきます。
木を見て森を見る〜ウェディングケーキモデル
SDGsの取り組みは市内でもすでに進められています。
たとえば、廣瀬が理事長を務める和泉愛児園(山梨県甲府市湯村)では、職員間でSDGsについて話し合いを続けてきて、以下のようなウェディングケーキモデルを作成しました。
SDGsの国連の理念の中で『トランスフォーミング』という言葉が使われています。
transformはchangeよりも変化の程度が大きく、「すっかり変わる」「まったく姿を変える」というニュアンスがあります。
つまり、SDGsは根本から私たちの世界を大変革するのだ、まったく別の社会を目指すのだ、という覚悟を持った『世界の目標』であることがわかります。
SDGsの【誰一人置き去りにしない、取り残さない】という理念は、すべての子どもの権利を守ろうとする和泉愛児園の基本理念と通じます。職員同士SDGsを理解した上で今現在の自分たちの教育・保育を振り返り、SDGsとの整合性を確認・自覚しました。
こども園は子育て、教育、自然環境、家庭環境など社会的課題を抱えるシーンが複雑に交差する場所。だから、SDGsを理解するためには個々の目標を平面で捉えるのではなく、立体で捉える、すなわち『ウエディングケーキモデル』がよかったのです。ウェディングケーキモデルはスウェーデン発のアイディアです。
17の目標がそれぞれ大きく環境・社会・経済の3つの階層からなり、それらが密接に関わっていることがわかります。頂点には目標17の【パートナーシップで目標を達成しよう】が設定されており、パートナーシップ(協力関係)なくして目標の達成はありえないことがわかります。
できることからやっていくのは大事。でも、その先にどういう地図があるかを考えてることも大事です。場の把握は理念の認識につながります。
このSDGsウェディングケーキモデルは、甲府市のSDGsビジョン作成の際にも廣瀬が市担当者に紹介し、以下のように取り入れられました。
最低限必要な基盤である生物圏(環境圏)、人の尊厳に関係する社会圏、そして経済圏と3階層に分類すると、生物資源、環境資源の上に成り立つ健やかな社会と経済という関係が見えてきます。
甲府市は、SDGsの理念を取り入れ、顕在化する新たな課題に迅速に対応し、甲府市の成長・市民福祉の増進につなげていきます。